連合の議長さんからご依頼があって、4月21日、ジェフリーすずかで開催された世界平和連合三重第2連合の春の集いで講演してきました。
「これからの社会と女性の生き方」というテーマでお話してきました。
少し驚いたのは、女性会員の方々がお集りと思い込んで原稿を用意してきたのに
会員でない男性の方々がかなり参加しておられ、びっくりしました。
会員でない人が多かったのでその方々には、「これからの社会と私たちの生き方」
と読み替えていただくことにしてお話を始めました。御蔭さまで集まった方々は、慣れないパソコンを使いながら苦戦する私の話を熱心に聴いてくださいました。
<講話の概要>
国際化、グローバル化が進む日本社会
インターネットの普及で瞬時にして情報が世界を駆け巡る
ヤフーで「水井塾」を検索していただくと世界中の人に私のブログを見ていただける
市内に住んでおられるブラジルやペルーの日系の方々や留学生もメールを使えば
故郷の家族に自分の生活の様子を動画や写真、文書で一瞬にして届けることもできる。
最近は、観光で日本を訪れる中国や韓国の方々が増えてきていること。
文化・学術関係、留学等で訪日する人々も増えていること。
産業面でも日本企業の海外進出は年々増加していること。
経済産業省の海外事業活動基本調査では、現地法人企業数は1999年に13939社であったのが、2009年には18201社と1.3倍に増えていること。
それに伴って日本人の海外における勤務や生活の機会が広がっており、今後もこういった傾向は一層拡大していくことが予測されること。
このようにさまざまな面でグローバル化する中で日本は常に世界の国々の影響を受けながら3.11の災害からの復旧・復興に向けて総力を挙げて頑張っていること。
ただ、現実は衆参のねじれで政治基盤が不安定なうえに、少子高齢化、超円高、
デフレ、財源不足、原発問題等さまざまな難題を抱えており、大変な状況であり、
このままではグローバルな世界経済の中でやがて日本は沈没するのではないかと心配する向きもあること。
昨年の8月28日には、米国のムーディズが日本の国債を3番目から4番目に格下げしたこと。その後、ヨーロッパの経済状況が悪化し、年明けからの日本の経済も
大変な状況で今後ますます国内の企業は海外に出ていくことが増え、グローバル化が一層進んでいくこと。
こういった状況を踏まえて、今日は、世界の人口問題とそれに取り組んだ人たちの生き方から学んでいこう。
つい先ごろ国際連合が世界の人口が70億を超えたという発表をしたが、現在、世界では毎年、1億3000万人の人が生まれている。毎年6000万人が亡くなっているので、毎年7000万人づつ増えていることになる。
FAO(国際食料農業機構)によると2050年には世界の人口が34%増え91億人
になると予測しており、「2050年の世界をだれが養うか」というタイトルで調査研究がされていること。実際、2050年に必要な食料は、経済成長を考えると現在より
60%増の食糧が必要で、今後食糧不足というか、食糧保障が大きな課題になってくると心配されている。
特に経済成長を伴わないアフリカの急激な人口増は食糧不足から来る森林伐採などの環境破壊が大きな問題となっており、人口増加問題は深刻な食糧問題、環境問題となっている。
この深刻な世界的な問題に取り組んだ女性がいる。
そのうちの一人がワンガリーマータイさんという人である。
マータイさんはケニア出身でかけがえのないこの地球を大切にしようと人々の心に平和の種をまき続け、環境保全に尽力したが、それだけでなく、アフリカの女性の権利向上にも貢献した。そのことが認められ後にノーベル平和賞を受賞されている。
マータイさんは、1940年にケニアの農家で生まれ、幼少期から畑仕事をしたり、弟や妹の世話をしてよく母を助けた。母の理解で学校にも行け、11歳でカソリックの学校に入り、この時入信している。1960年には、留学生としてアメリカにわたる。アメリカで生物学を学び母国に帰った時、近所の母親たちが炊事のまきがなく、子どもにご飯を作ってあげられない母親たちを見て自宅の裏庭に7本の木を植える。これが世界に広がる植樹活動の始まりであった。
彼女は、その後1977年に非政府組織「グリーンベルト運動」を設立し、植林を始めた。
国土の10%を森林にしようと砂漠化した土地に木を一本一本植え続ける活動には
多くの貧しいイ女性たちも参加し、やがて運動はアフリカ全土に広がっていく。
アフリカで民族運動が絶えない背景には、人口増に伴う森林資源の枯渇や水や土地などの資源をめぐる争いがあることから、マータイさんは部族間の対立をなくすためにも植樹を進めようとした。そして植樹活動に参加する女性たちを見て
「女性たちは木を植えるたびに、平和の種をまいている。」と女性たちの行動を称賛した。彼女の「環境保護を平和と民主主義、女性の人権問題とつなげてとらえるまなざしには学ぶ点が多い。
2005年に
毎日新聞の招きで来日しているが、その時、「もったいない」という日本語に感銘し、この言葉を世界に広めようと決意する。
そして演説で「もったいない」は
消費削減(リデュース)
再利用(リユース)
資源再利用(リサイクル)
修理(リペア)
の4つのRにつながるとし、「限りある資源を有効に使い、みんなで公平に分担すべきだ。そうすれば資源をめぐる争い、戦争は起きない」と訴え、その後、「もったいない」は国際語となる。
マータイさんは、大量生産、大量消費に慣れた私たちが忘れかけていた日本の伝統的な「ものを大切にする」価値観の大切さに気付かせてくれた。
親日家で知られ、3・11の震災後も日本にエールを送ってくださったマータイさんも
昨年9月25日に71歳で亡くなられた。
亡くなるまで希望と勇気を失わなかったマータイさんは、「私たちには、住んでいるこの世界を良くするために、できることが何かある。」
という素晴らしい言葉を残している。
今日は、皆さんとこの言葉を心に留めておきましょう。
ところでケニアの人口問題といえばもう一人皆さんに紹介したい人がいます。
それは、岸田袈裟さんというお方です。
岸田さんはかまどを使って多くの子供たちの命を救い、ケニアの人口問題に貢献している。
1991年にケニアにわたり、その後30年以上にわたり住民の衛星や健康面での
生活改善に尽くした。当時、ケニアの首都ナイロビから西へ400キロ離れた赤道直下のエンザロ村では、乳幼児が下痢やマラリヤで次々に死亡するため、母親は8人以上の子供を産むのが当たり前であった。岸田さんは、「子どもが死なないようにしなければ出生率は下がらないと考え、感染予防のために、故郷の岩手県遠野市で使われていた「かまど」を活用することを思いついたのです。
電気も水道もない村で「かまど」は水を熱湯消毒できることから、感染症や乳幼児死亡率を劇的に低下させることができた。子どもを失う不安から解放された親たちの間にやがて「かぞくけいかく」の考えが浸透し、子どもの数は一家庭3~5人に減少したということです。「かまど」がエンザロ村に拡がるには3カ月ぐらいかかったが、2003年にはケニア各地に拡がり、約10万世帯以上に「かまど」が設置され数100万人の人々が救われたということです。
岸田さんは、大学で学ばれた食物学科での知識や経験を生かして「台所からものを見て、どうしたら善くすることができるかを考えます。」と言っている。
困っている人への援助には、新しい施設やお金も必要だが、岸田さんのように、
人々が本当に困っていることや苦しんでいることを自分の目でよく見て、そのうえで自分に何ができるかよく考え、工夫や改善につないでいく生き方は、マータイさんの
「私たちには皆、住んでいるこの世界を良くするためにできることが何かある」という
考えと重なり、どうしても皆さんに知っていただきたかったので紹介しました。
マータイさんと岸田さんの生き方から何を学び、それをどう生かすかは、強酸化されたお一人お一人がご自身で探し求め、実践していただくことですが、私は私たちの日常生活で、水や食べ物、電灯など、エネルギーを大切にすることから、小さな取り組みから世界の人口増加問題や環境問題に貢献できると考えております。
私たち一人一人が自分のできることから「もったいない」精神で取り組んでいくことが大切かと考えています。
世界平和女性連合の皆さんは、日ごろの活動を通して世界の平和のために運動しておられると思いますが、今一度、家庭や地域の中で、女性として、母親として
地域の人間として家庭や地域の子供たちの育成に努めていただければありがたいと考えております。
この後、「ハチドリのひとしずく運動」のお話や、多文化共生の街づくりについてお話して終わる。時間がなかったこと、パワーポイントがうまく動かなかったので少し苦労した。参加者に申し訳なかった。
参考資料・・・月刊ハーストーロリー、ウィキペディア等、